人、ありき

女二人旅をしてきました。
旅の相棒は、札幌在住のシンガーソングライター、マルカートのタテヤマユキちゃん。
私の大事な友達。
アーティストとして、とても尊敬している人でもあります。
本番ナシの贅沢な二泊三日は、鳥取の米子が拠点。
彼女が関西ツアー中の空き日の数日間を、私との時間にあててくれて、
大阪と山口の中間地点で落ち合ったのです。
道中のスカタンな駅員さんのお陰で二時間遅れて到着した私に
「つかれたっしょ〜?さとちゃん!」という彼女の言葉と笑顔は、
3年ぶりなのに、一ヶ月くらい前に会ったような、不思議な、
でもあたたかくて、当たり前に近くにいるような感覚でした。
この旅について事前にある方に話したのですが
「冬の山陰はとってもいいわよ。景色もいいし食べ物も美味しいし。」
と言ってくれました。
で、冬の山陰、どこに出かけたかといえば、
すべりこみで訪れた、雨もそぼふる夕暮れの境港。
そして、翌日、のんびり各駅列車で訪れた出雲大社
最終日は近くのイオンでお買い物…。
夜は何を食べたかといえば…
豪華な海鮮や美味しい地酒よりも勝る、私たちにとっての御馳走は、
気兼ねのない「語らい」。
食べたいものを買って、そそくさとホテルに帰り、
あとは、食べては喋って、喋っては飲んで、途中でお風呂に入って、また喋って。
睡眠もしっかりとったけれども、眠っている間以外は本当によく喋りました。
ホテルから駅に向かう時も、鬼太郎列車でも喋りっぱなし。
出雲大社では、通販のガードルショーツの話がピークに達し「神様、ごめんなさい〜」。

勿論、シンガーソングライターとしての話も尽きません。
彼女とは、恐れ多くも、歌づくりでこだわる点や、向き合う姿勢が、とても似ているように思います。
だからこそ、お互いの辛い出来事もその痛みがよくわかるし、
今の音楽シーンでの自分たちの存在についても、いろいろ語り合えるのです。
決して派手ではないけれども、
一人一人に手渡しできるような歌、
自分に対して誠実な歌。
これからも、それに向かってく意味を確認できたように思えます。
三日間、山陰の空は、晴れたり降ったり曇ったり、いろんな顔を見せてくれて
どの空も素敵でした。
それは土地の素晴らさは勿論のこと、
そこで出会う人、語らう人の魅力が大きいのです。

「来年は山口に行くね!」と彼女はにっこり笑って手を振りました。
私も、また札幌に行きたい!と強く思うのでした。