三桁の世界

偉大なるソングライター、コールポーターの半生を描いた映画を見ました。
ようやく仕事が軌道に乗り出し、贅沢三昧な生活に突入してゆくわけですが
「一生懸命、歌を書いていた昔よりも、
 適当に歌を書いている今の方が、何十倍もお金が入る」
そんなようなことを、本人がポロっと口にします。
嫌味の成分がどの程度だったかはさておき、それが真実だったのでしょう。



私は、歌や声にまつわる、いろいろな仕事、いろいろなライブをやっています。
基本的に好きなことだし、自分を活かせることなので、
喜んで取り組んでいます。

同時に、私の中心にあるのは、
自分の歌を書き、自分で歌う、シンガーソングライター。
迷うことは全くありません。
その活動が一見、活発ではない時でも、
いつもいつも、自分にとっての良い歌を書きたいと思っています。
(それがビジネスに繋がりにくいことももわかっています)

他の音楽の仕事やライブが増えると、本来の想いも同じ比率で増えてゆく…
今も、まさにそんな状況。

自分の歌を書きたい、それらをたくさん歌うライブがしたい。
お客さんが、残念ながら、一桁だったとしてもいい。
真剣に聞いてくれるのなら、それでいい。
いろいろな土地で歌いたい。
歌いたい、歌いたい、歌いたい。あぁ〜歌いたい。


と、一人でうなっているところに、姉から届いた画像付きメール。
姪っ子が小学校2年生の時に自ら作った、算数の問題の写真です。
「さとこさんのコンサートに、ぜんはんは320人いました。
 こうはんは130人きました。今の人数は?」
7歳で既に私のライブによく来ていた、彼女らしい出題。
それにしても、お客さんの数が三桁って、スゴイ。

もし三桁が現実になっても、一切妥協せす、
自分が心から納得できる歌が創れて歌えていたら、もっとスゴイ。
これぞ、理想の世界。
 ←「式」が左右逆転してて、これまたスゴイ。

不揃いな胡瓜

5月末、7ヵ月ぶりに首都圏で歌ってきました。

横浜出身。山口に移り住んで9年目。
お陰さまで、都会への憧れはなく、
逆に、地方の「お金でははかれない豊かさ」に
魅力を感じている

…のですが、今回、
ライブでもご一緒したマルカートさんとの語らいで、
お互いに、しみじみと思ったことがありました。

彼女(マルカートさん)も、シンガーソングライター。
札幌出身で、彼女が東京で長いこと暮らしていた時に、
一緒にユニットを組んでいたこともあります。
今は、ふるさとを拠点に活動中。

都会と、そこから遠く離れた場所、
両方での生活年数がそこそこある者同士、
また、同じ、音楽に携わるもの同士、
今だからこそ、わかることがあります。

それぞれの土地の違い、良し悪し。
首都圏のきらびやかさはどうも……
などと思いつつも、
やはりそこにしかない、魅力もあること。

あの日の会話を反芻しての、彼女へのメール。
「都会は『洗練』。そして『熟成』って語ったねぇ〜」
すると、彼女から返信が。
「あはは〜。ワインとかチーズみたいだね〜。」

………間違えた、会話に出たのは『成熟』でした。
だみだこりゃ。



さて、今朝、おとなりのおばあちゃんが、
回覧板と一緒に、
畑でとれた、不揃いな胡瓜クンをくれました。
豊かな1日のはじまりです。

耳かきボイス

ゴールデンウィークだったのに
その最中、通常通りボーカルレッスンを行ったという、
なんとまぁ、非常識な落合センセ。
なのに、ちゃんと来てくれた生徒さん、エライ!
その生徒さんは、最近になって
「シンガーソングライター 落合さとこ」を知ったわけですが、
なかなか面白い感想を述べてくれるのです。



「センセの歌は、なんか、こう、耳の中を、
 こちょこちょこちょこちょ〜って、されてる感じなんですよ。
 ほら、耳かきって、すごく気持ちがいいじゃないですか。
 あんな感覚。
 時々、他の人の歌でも、こちょこちょされる感じはあるんですけど
 センセの歌は、こちょこちょの回数が、とんでもなく多いんですよ。
 あ、またきた、あ、ここも、ここも!って。
 それで、もっとこちょこちょされたくなって、また聞いちゃう。
 センセのライブに、ボクのようなおっさんがたくさんいましたけど、
 みーんな、最後、子供みたいな顔になっているんですよねぇ。
 それって、やっぱりみんなも、こちょこちょされて
 気持ちええんだと思います。」



な〜る〜ほ〜ど〜。
私の声は、耳かきボイスだったんだな。
そして、確かにサトコちゃんの耳かきを持っているぞ。
(※サトコちゃん=サトーのサトちゃんの妹)
おっしゃ。
今月後半は、首都圏のみんなのお耳を
こちょこちょしに行くわよ〜♪
耳の穴をかっぽじって、待っててくださいネ。

5ヶ月目の発見

すっかり春の陽気です。
小さな山々、そして、森と田んぼに囲まれた、今の猫髭うたたね舎では、
一日中、鳥の歌声が楽しめます。
うぐいすの、楽しそうなことと言ったらありません。
キジも、ギーギーと、朝から目覚まし代わりに歌ってくれます。
正体不明の、小さな生き物らしき声も時々、響きますが、
それもそれで良し。
窓をあけて外の風を楽しんだり、家のまわりを散歩したり。

あぁ気持ちいいなぁ〜と、屋根越しに空を見上げ……
ああぁっ!
屋根の瓦に、ひ、ひ、ひとの顔が!!!

おちついて、よ〜く見ると………
こわいくらいにほがらかに笑っています。
その奥の瓦にも、やっぱり、笑顔が張り付いてる。。

+++
調べてみると、鬼瓦には、魔除けの為の鬼の形相、だけではなく、
縁起が良いように、七福神をあしらったものもあるのですね。
我が家の屋根にくっついていた笑顔は、
島根の石州瓦を使ったものと思われる鬼瓦で、
大黒様と恵比寿様のようです。
全身ではなく顔だけ、しかも色が違って、
瓦にひっついているような、この美的センス、
遊び心があるというか、なんというか…
私の心を、すっかり鷲掴みにしたのです。
引越して5ヶ月。
ますます、ここが好きになりました。
懐かしの日本の風景、生活、不思議、バンザイ!

卒業シーズン

卒業シーズン到来です。
本日、姪っ子1号もめでたく高校を卒業。
卒業式の様子を収めた写真が、
パソコンに次々と届きました。
高校時代。
この頃の時間って、
いろいろなことが、凝縮しているのですよね。
入学するにあたり受験があって、
在学中も沢山のことがあって、
次の進路も友達と枝分かれして。
自分が関わる社会が、どんどん変わってゆく。
私の、ここ3年間を振り返ってみる。
それなりに変化もあるし、
成長している(と思う)けれども、
10代の頃とは、スピードも質感も違う。
きっと、それぞれ世代ごとに
「生きるテーマ」があるのでしょう。
何はともあれ「卒業」するみなさん、
おめでとう!
落合さとこ×笹子重治 duo「卒業」

引越騒動の続き

新・猫髭うたたね舎の仕事部屋は、8畳の和室。
東側が全面廊下と隣接、西側が全面広縁と隣接。
その両側の建具が、なぜか入居時からありませんでした。
おかげで広々としているのですが、この時期は………寒い!

仕事部屋から足が遠のきがちなのですが、
先日、ようやく弾き語りの練習をじっくりしました。

やっぱりいいなぁ。
ピアノと向き合う時間。
頭が創作モードになる時間。
何よりも幸せな時間!

実は、今回の引越騒動はまだ終わっておらず、
訳あって、あと2軒分の荷物が猫髭に集約されることに。
これがまた半端ない量で、気が遠くなることがしばしば。
小分けに引き取り、整理、処分、片付けの日々。

寒い仕事部屋から抜け出す為の
「ハンドメイドなんちゃって建具」の設計図は
既に頭の中にあるのですが、
引越騒動が終わるまでは邪魔になるので、しばらくガマン。

早く、快適な仕事部屋でピアノを弾きたいなぁ。
その日を夢見て……今日も要らないもんは捨てたるぅー!

(モチロン、人にあげたり、
 買取してもらったりもしてますヨ)

それにしても、モノは少ないに限る。
テレビ6台、とか、
折りたたみベット4台、とか
寝具8セット、とか、
座卓8台、とか、あっても困りますから。

原点回帰、ということで。

2017年が始まりました。
なのに、ちっとも実感が湧きません。
今年の抱負、みたいなものを語るべきなのですが
珍しくの、ノーイメージ。
まっさらなのです。
どうしたものかと思いながら、
ミュージクマガジン1月号をちょろちょろと読んでいると、
引越し騒動の渦中に寄稿した、自分の記事に到達しました。
「思うことを好きに書いてください」との依頼で書いた
「本州の隅っこ、山口で思う シンガーソングライターの原点回帰」。
あれ?ここで言ってるじゃない。
そうゆうことなんだよねぇ。
きっと。
(現在発売中なのです)
今年の、というよりも、
自分の人生のタイミングとしての、なのですが、
原点回帰、ということで、いきましょう。

では、ポーじいちゃんの大風呂敷と共に、
新年のご挨拶を。
今年もよろしくお願いいたします。