夏から秋へ

佐々並音楽堂の縁側に、
一匹の、ちっちゃなカエルがいました。

日中は、洗濯物干しで昼寝。
夜になると、虫捕り機の屋根に移動し、
ひたすら、バイキング。

日に日に相撲取りのようになってゆく、彼の元気な姿を
朝晩、確認するのが、密かな楽しみでした。

9月に入ったある朝。
いつも通り、縁側に目をやると、
彼の姿は、もう、そこにありませんでした。
夏が、去っていったのです。
外の音楽は、
カエルの合唱から、
羽音をあわせる虫たちの合唱へと
変わっていました。